【11月9日 AFP】まもなく始まる国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第21回締約国会議(COP21)で、世界の平均気温上昇値を2度未満に抑えるとの目標で合意に達したとしても、中国・上海(Shanghai)や印イムンバイ(Mumbai)、米ニューヨーク(New York)市などの大都市では、その広範囲が海水に漬かる可能性があるとの研究論文が8日、発表された。

 米気候研究機関クライメート・セントラル(Climate Central)が発表した論文によると、世界の平均気温が4度上昇した場合、約6億人以上が暮らす地域に影響が及ぶ可能性があり、また2度上昇した場合でも、現在、約2億8000万人が暮らす土地が水没する可能性があるという。

 それぞれのシナリオで起きる海面上昇は、約200年後に始まる可能性があるが、その後、最長2000年にわたって続くことも考えられるという。

 30日から来月11日までフランスの首都パリ(Paris)で開催予定の世界195か国が参加するCOP21では、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて2度未満に抑えることを大きな目標に掲げている。しかし、2度未満の目標を達成することはかなり難しいと考えられている。

 今回発表された論文によると、4度の気温上昇にともなう海面上昇の被害が最も深刻な国は中国で、現在、約1億4500万人が暮らす同国の都市や沿岸地域が、将来的には海となる可能性が指摘された。インドやベトナム、バングラデシュの状況も同様だ。アジアの人口の約75%が住む場所は、今後の気候変動により「陸」ではなくなる恐れがある。

 また、日本で3400万人、米国で2500万人、フィリピンで2000万人、エジプトで1900万人、ブラジルで1600万人が、海面上昇により被害を被る可能性があると試算された。

 研究論文によると、気温が2度上昇すると海面は4.7メートル上昇し、また4度上昇すると、上昇幅はその約2倍になるとしている。(c)AFP/Marlowe HOOD