【11月9日 AFP】ロシアと英国の両政府は8日、先月末にエジプト・シナイ半島(Sinai Peninsula)で起き乗客乗員224人が死亡したロシア旅客機墜落を受け、同機の出発地だった観光地シャルムエルシェイク(Sharm el-Sheikh)などに足止めされている数万人の観光客を帰国させる措置を増強した。

 英米両政府や国際調査チームは、機内に持ち込まれた爆弾が墜落の原因だった可能性があるとみている。シナイ半島で活動するイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の傘下組織が犯行声明を出したが、エジプト当局は、同機が攻撃の対象となったことを示す証拠はないと強調している。

 だが、ロシア当局は安全上の懸念からかエジプトへの航空便の運航をすべて停止。英国も、シャルムエルシェイク行きの便の運航を停止した。これにより、数万人が数日間にわたり足止めされており、エジプト当局は、同国経済の柱である観光業への深刻な打撃の可能性を懸念している。

 ロシア政府は、シャルムエルシェイクとハルガダ(Hurghada)などのエジプト観光地にいる推定8万人の国民を帰国させるため、航空機44機を派遣すると発表。アルカジー・ドゥボルコビッチ(Arkady Dvorkovich)副首相は8日、過去24時間で約1万1000人のロシア人観光客が帰国したと述べた。

 一方、フィリップ・ハモンド(Philip Hammond)英外相によると、シャルムエルシェイクに滞在していた約3300人の英国人が政府系航空会社の手配した航空機ですでに帰国しており、8日にもさらに1700人が帰国する見込みだ。(c)AFP/Jay Deshmukh