【11月17日 AFP】今月末にフランス・パリ(Paris)で開幕する国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)第21回締約国会議(COP21)では、気温の上昇を産業革命前と比べて2度未満に抑えることを目標とした国際的な条約が初めて調印されることが期待されている。

 先月30日には約150か国・地域から、温室効果ガス排出量の削減目標が出そろったが、それを達成したとしても、産業革命前に比べ、気温は3度前後上昇してしまう見通しとなっている。前例のない削減努力をしても、2030年までに炭素収支の4分の3を使い切ってしまう見込みで、(2度未満という)目標との隔たりを埋める余地はほとんどない。そこで必須とさるのが、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換だ。

 地球の表面温度の上昇を制限するために有効な策は化石燃料から、二酸化炭素(CO2)をほとんど排出しないか、まったく排出しないエネルギー源に置き換えることにかかっている。温暖化ガス排出の3分の2を占めているのは、エネルギー生産だ。だからこそエネルギー産業の変化が非常に重要になると、米科学者団体「憂慮する科学者同盟(Union of Concerned Scientists)」の専門家、アルデン・メイヤー(Alden Meyer)氏らはいう。

 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)のアドナン・アミン事務局長も「世界を脱炭素化させるには、エネルギー(生産)の脱炭素化が最も近道だろう」と語る。

 問題は太陽光や風力、その他のクリーンエネルギーの拡大が果たして時間的に追いつけるかどうかだ。国連(UN)の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」によると、2050年までに世界の発電量の少なくとも80%を低炭素エネルギーが占めるようになって、気温上昇を2度未満に抑える可能性は50%を超えるという。

 朗報は再生可能エネルギーの利用が急速に拡大し、投資も呼び込んでいる点だ。2014年中に新たに設置された発電設備の半分近くが再生可能エネルギー関連だった。国際エネルギー機関(IEA)によればこのうち風力が37%、太陽光が30%強、水力が25%となっている。