■「雲母が私たちにしている仕打ちを見てよ」

 18歳未満の子供の労働は違法であり、罰金や禁固刑の対象になっているが、そうした規制が徹底されていないために名ばかりの法律になっている。

 ラリタさんのような子供がつるはしでけがをしたり、雲母の粉が目や肺に入って慢性的な健康問題に見舞われたりすることも多い。毎年モンスーンの季節になると、ヘビにかまれたり、鉱滓(こうさい)の山が崩れて生き埋めになったりする危険もある。

 4人の子供の父親であるシブ・ヤダブ(Shibu Yadav)さんは、家計のため子供たちが鉱山で働いていることを認めた。

「雲母がなければ、私たちは飢え死にしていただろう」とヤダブさんは言う。ヤダブさん一家は雲母の採取によって1か月に約1000ルピー(約1800円)を稼いでいるという。

 エスティ ローダー(Estee Lauder)やシャネル(Chanel)などの大手化粧品会社は最近、子供が学校へ戻れるように援助するサトヤルティ氏のNGOの活動に参加した。

 とはいえ、子供たちに労働の終わりは見えていない。プシュパ・クマリ(Pushpa Kumari)さん(13)は、「雲母が口紅やパウダーに使われることは知ってるわ」と言う。その肌の荒れた顔から、実際の年齢よりも年上に見える。

「雲母は女性をかわいく見せる」と、雲母でいっぱいになったトレーを頭に載せてバランスを取りながら彼女は言う。「でも、雲母が私たちにしている仕打ちを見てよ」

(c)AFP/Abhaya SRIVASTAVA