【10月26日 AFP】(一部訂正)国連(UN)の「子どもの売買、児童売春、児童ポルノ」に関する特別報告者、マオド・ド・ブーアブキッキオ(Maud de Boer-Buquicchio)氏は26日、日本に対し、子どもを「極端」に性的に描いた漫画を禁止するよう呼び掛けた。

 先進7か国(G7)の中で唯一児童ポルノ所持を禁止していなかった日本では、昨年ようやく子どものわいせつ写真や画像の「単純所持」禁止を盛り込んだ改正児童ポルノ禁止法が可決され、今年7月に施行された。しかし、新法施行後も性的に挑発的なポーズをとった子どもを実写した書籍やビデオはいまだ広く出回っている上、漫画の児童ポルノ描写は合法のままだ。

 ブーアブキッキオ氏は、1週間の日本視察を終えた記者会見で「特に極端な児童ポルノ・コンテンツを扱った漫画は、禁止すべきだ」と述べた。ただし、芸術的表現の自由と児童保護の必要性の間に「適切なバランスを見いだす」ことの難しさは認めた。

 改正児童ポルノ禁止法制定の際、漫画を含めるべきだとの声が上がった一方で、漫画家や言論の自由の擁護派、出版社などからは、漫画を含めれば表現の自由が侵され、芸術に対する当局の恣意的判断を許すことになるとして強い抵抗があった。ブーアブキッキオ氏は同法に「多くの抜け穴」がある点を批判し、いわゆる「着エロ」は子どもたちを搾取するものだとして非難した。

 改正児童ポルノ禁止法の下で依然合法とされるものには、ビキニなど露出度が高い格好をした半裸の子どもの写真やイラストなどが含まれている。「着エロ」のDVDや写真集は今でも、秋葉原など東京の店舗やインターネット上で入手できる。ブーアブキッキオ氏は、「こうしたものはすべて、明らかにもうかる商売となっている。懸念されるのは、社会的に容認したり、寛容だったりする風潮があることだ」と述べた。(c)AFP/Natsuko FUKUE