■廃棄直前の食材がコース料理に

 ボランティアでカフェを支える人たちは、その日に調達できた食材でいかにおいしい料理を作り出すかという課題に日々直面している。それも「楽しみの1つ」と話すのは、英ノーザンプトン(Northampton)でカフェ「エルシーズ(Elsie’s)」を経営するシェナ・クーパー(Shena Cooper)さん。

 エルシーズで今月開催されたイベント、「binner(ごみ回収人の意)」では、ゲストとして招かれた料理人が、廃棄処分直前の地元の食材を3品のコース料理に変身させた。前菜は洋ナシを乗せた薄切りトースト、主菜はトウモロコシ粉のパウンドケーキを添えたソーセージ料理、そしてデザートにいちじくチョコレートが供された。

 クーパーさんは、自分のカフェで回収している廃棄寸前の食料が氷山の一角でしかないと認識している。それでも、この取り組みを通じて、食品をめぐるシステムの実態を人々に知ってもらいたいと話しており、「現在の食品流通システムには多くの問題がある。地球の反対側からわざわざ空輸したバナナをゴミ箱に放り込むなんて、とんでもない話だと思う」と語気を強めた。

 英南部ブライトン(Brighton)の教会を利用したカフェで、毎週約200人に食事を提供しているアダム・バッキンガム(Adam Buckingham)さんも、「残念ながら、僕たちは食べ物を捨てても、また買えばいいと考えるようになってしまった。便利さで感覚がまひしてしまっているんだ」と語った。

 他方でロンドン(London)北部では、2人の起業家が、消費者と余った食料の提供者をつなげるアプリ「Olio」を立ち上げた。このアプリでは、提供者が販売期限の迫った食品の画像をアップロードし、その他の利用者がそれらを検索・受け渡しについて相手と直接やり取りすることができる。

 起業家の1人、テッサ・クック(Tessa Cook)さんは、「市場調査をした結果、約3人に1人が食べ物を捨てることに『肉体的な苦痛』を感じていることが分かった」と説明する。

 2人はこれまでに個人、業者など、食品を提供する15人の「創立メンバー」と契約した。今はロンドン限定だが、いずれこのアプリを世界中で展開したいと話しており、「食料の廃棄について知れば知るほど、ことの重大さにますます圧倒される。本当に無駄が多く、無責任、不道徳な行為だ」とコメントした。(c)AFP/Ruth HOLMES