【10月22日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」による攻撃が世界各地で大きく増加し、直近の3か月に1000回を超える攻撃で3000人近くが死亡したと、国際軍事情報企業IHSジェーンズ(IHS Jane's)のテロ調査部門が22日、発表した。

 英ロンドン(London)を拠点とするIHSジェーンズ・テロリズム&インサージェンシー・センター(IHS Jane's Terrorism and Insurgency Centre)の統計によると、7~9月に記録されたISの攻撃回数は1086回で、政府・民間合わせて2978人が死亡した。4~6月と比べて65.3%の増加で、前年比では81%増となる。

 また、1日当たりで見ると、ISは7~9月に平均11.8回の攻撃を実施しており、4~6月の平均8.3回から42%増えたことになる。

 この数字は、米軍主導の有志連合による対IS空爆が限定的な効果しかもたらしていないことを示唆している。

■ロシアの空爆は逆効果か

 IHSジェーンズではオープンソースでデータ分析を行っており、ISの攻撃は確認されたもの以外にもあるとみている。同社のマシュー・ヘンマン(Matthew Henman)氏は、AFPに対し「空爆をはじめとるす有志連合の努力は、ISへの著しい圧力となってはいるものの、IS撲滅はおろか、ISに掌握された地域を奪還できるほど勢力を弱めるまでにも至っていない」と説明した。

最近ロシアがシリアへの関与を強めていることも、かえってISの勢力を強める恐れがあるという。ロシア政府の関心は、IS撲滅よりもシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権の支援にあるという「明白な示唆」があるからだという。

 ヘンマン氏は、北部アレッポ(Aleppo)ではシリア反体制派が空爆の標的となっていることから、この数週間でISが支配地域を拡大していると指摘。「ロシアの空爆で民間人に死者が出ていることも、ISにとって強力なプロパガンダ(政治宣伝)になる」と述べた。(c)AFP