【10月21日 AFP】国連(UN)の潘基文(バン・キムン、Ban Ki-Moon)事務総長は20日、イスラエルとパレスチナの間で暴力事件や衝突が相次いでいる状況について、イスラエルとパレスチナ双方は「危険な深み」にあると警告し、制御不能な状態となる前に鎮静化に向け速やかに行動を起こさなければならないと訴えた。

 潘事務総長は、イスラエルとパレスチナの衝突に国際社会が懸念を強める中、緊張緩和を目指してエルサレム(Jerusalem)を急きょ訪問した。

 暴力的な抗議行動と、パレスチナ人によるイスラエル人に対する銃や刃物、車を使った襲撃事件などが相次いでいることから、パレスチナ人による全面蜂起が懸念されている。

 潘事務総長の訪問中にも、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)では刃物と車による襲撃事件がそれぞれ1件ずつ発生し、イスラエル人合わせて3人が負傷。2つの事件の容疑者はいずれも射殺された。

 また、ヘブロン(Hebron)では刃物を使った襲撃事件でイスラエル兵がパレスチナ人2人を射殺した。さらに、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)との境界でも新たな衝突が発生。イスラエル側からの発砲でパレスチナ人1人が死亡、5人が負傷した。

 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相と会談した潘事務総長は、「暴力の爆発につながり得る不満と不安を増大する可能性がある」として武力を乱用しないよう呼び掛けた。ネタニヤフ首相はこれに対し、「イスラエルは、あらゆる民主主義国家が国民を守るために取るであろう行動に出ている」「われわれは決して、過剰な武力行使はしていない」と強く反論した。

 潘事務総長は、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長とも会談する予定。(c)AFP/Joe Dyke