【10月20日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)で5度の世界王者に君臨した故ファン・マヌエル・ファンジオ(Juan Manuel Fangio)が駆ったフェラーリ(Ferrari)の車が、今年12月に米ニューヨーク(New York)でオークションに出品されることになった。

 12月10日にオークションを行う競売大手サザビーズ(Sotheby's)によれば、1956年製の赤いフェラーリは、「世界中の車コレクターや愛好者にとって聖杯に等しい」とされ、落札価格は2800万ドル(約33億円)に上るとみられる。

 フェラーリ290MM(シャシー0626)は、アルゼンチンの伝説的ドライバーであるファンジオ氏のために特別に製造された。ファンジオ氏は、このマシンで1956年に行われたイタリアの自動車耐久レース「ミッレミリア(Mille Miglia)」に出走して4位に入っている。

 しかし、この車は独自の輝かしいキャリアを築き、のちには唯一の米国人F1王者である故フィル・ヒル(Phil Hill)氏を含む数々の有名レーサーが運転している。

 レースから引退後、このフェラーリはフランス人収集家のピエール・バルディノン(Pierre Bardinon)氏に所有され、現在では匿名の人物が購入してオーナーとなっている。

 サザビーズの車専門家であるピーター・ウォルマン(Peter Wallman)氏は、「1950年代の偉大なドライバーが操った、歴代最高とされるドライバーのために製造されたこの車は、フェラーリの創設者であるエンツォ・フェラーリ(Enzo Ferrari)氏にとって個人的に思い入れがあり、フェラーリ伝説の根幹となっている」と語った。

「ドリブン・バイ・ディスラプション(Driven by Disruption)」と題された車と車関係の記念品が競売される今回のオークションでは、1955年に製造された青のフェラーリ500モンディアルや、伝説的米ロック歌手の故ジャニス・ジョプリン(Janis Joplin)さんがかつて所有していた、サイケデリックなデザインが施された高級スポーツカーのポルシェ(Porsche)も出品されることになっている。(c)AFP