【10月20日 AFP】欧州サッカー連盟(UEFA)の会長で国際サッカー連盟(FIFA)の次期会長選に立候補しているミシェル・プラティニ(Michel Platini)氏は19日、スイス・チューリヒ(Zurich)で開かれる重要なFIFA理事会を翌日に控える中、急激に名声が失墜したジョセフ・ゼップ・ブラッター(Joseph Sepp Blatter)会長から200万ドル(約2億4000万円)を受け取った際に、契約書は一切なかったことを認めた。

 元フランス代表のスター選手で現役時代はイタリア・セリエAのユベントス(Juventus)などでプレーしていたプラティニ氏は、FIFAから90日間の職務停止処分を科されて以降初めて仏紙ルモンド(Le Monde)の取材に応じ、ブラッター会長から受け取ったとして捜査の対象となっている報酬について書面はないものの、「個人同士」で契約したものだと明かした。

 プラティニ氏は、スイスの法律では「口頭契約は書面契約に値する」とされていると理解していたとつけ加えた。FIFAはチューリヒに本部があり、スイスの法律を順守している。

 プラティニ氏は「泥を塗るような恥ずかしさ」を感じているとした上で、1998年に会長に就任したブラッター氏からFIFAでともに働こうと誘いを受けたと明かした。しかし、同年行われたフランスW杯で組織委員会を務めていたため、この依頼を断ったという。

 その後、ブラッター会長はプラティニ氏に対しアドバイザーとしての役職を申し出て、「いくら欲しい?」と尋ねてきたという。

 プラティニ氏は、「100万」と返答。どの通貨かと問われ、「ルーブル、ポンド、ドル、なんでも構わない」と続けた。

 これを受け、ブラッター会長は年間100万スイスフラン(当時のレートで約9000万円)を支払うことで合意したという。

 サッカーをめぐる大規模な汚職スキャンダルが騒がれる中、同じく90日間の職務停止処分を科されているFIFAのブラッター会長は前週、過去のコンサルタント業務の報酬として2011年に行われたプラティニ氏への支払いは、「紳士協定だった」とスイスのメディアRROTVに対し説明していた。

 元フランス代表監督でもあるプラティニ氏は、ルモンド紙に対して、ブラッター氏が自身の後継者になる可能性をくじくことになる支払い問題で、「私を政治的に抹殺する」道を模索していると感じたと主張している。

 プラティニ氏は、ブラッター会長政権下のFIFAに対するスイス当局の犯罪捜査で名前が浮上するまで、来年2月に実施される次期会長選の最有力候補となっていた。(c)AFP