移民問題、独で賛否両派が大規模デモ 衝突で1人重傷
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【10月20日 AFP】ドイツ東部ドレスデン(Dresden)で19日、移民受け入れに反対する団体「西洋のイスラム化に反対する愛国的欧州人(PEGIDA)」に対する賛否両派がそれぞれ大規模なデモを行い、合わせて数万人が参加した。両派の間では短い衝突も発生し、1人が重傷を負った。
地元警察はツイッター(Twitter)で、PEGIDAの支持者1人が何者かに襲われ、重傷を負ったと発表した。
PEGIDA支持派のデモは、同団体の結成から1年に合わせて実施された。同団体の共同創始者であるルッツ・バッハマン(Lutz Bachmann)氏(42)は、デモ参加者が3万9000人に上ったと発表。一方で地元紙は2万人が参加したとしており、またデモ参加者の集計を専門とする大学グループは、1万5000~2万人だったとしている。
PEGIDAは当初、バッハマン氏を中心にフェイスブック(Facebook)上で結成された外国人排斥を訴える集団だった。最も盛り上がりを見せていた今年1月には、毎週開かれていた集会に2万5000人が参加していたが、同氏のインターネット上での人種差別的発言や、ナチス・ドイツ(Nazis)の独裁者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)の顔まねをした自撮り写真が流出したこともあり、PEGIDAへの関心は徐々に薄れていった。
しかし最近になって、ドイツが今年中に最大で亡命希望者100万人の受け入れ態勢を整える中、PEGIDAは再び勢いを強めている。
同日のデモでは、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相が掲げる難民受け入れ政策に反対する声が多く上がった。一部の参加者らはフェンスを築いて移民らの流入を防ごうとするハンガリーのオルバン・ビクトル(Orban Viktor)首相の強硬姿勢への共感を公に表明していた。
しかし同日には、このデモに反対する人々もドレスデンに結集。上述の大学グループは、1万4000人が参加したと発表している。
このデモ行進の企画運営者らは反PEGIDA派の人々に対し、PEGIDAの1周年記念集会に対抗するため同市中心部に向かって行進しようと呼び掛けた。
ある75歳の参加者はAFPに対し、デモ行進に加わった理由について「国民の大多数がPEGIDAに加担しないこと、またPEGIDAには同意できないことを示すことが非常に重要だと、われわれは考えている」と話した。
PEGIDAによるデモに先立ちメルケル首相も国民に対し、「心に憎しみを持つ人々」に追従しないよう訴えた。(c)AFP/Damien STROKA