■「フィクションでなく科学」

「こんなに多くのことを正確に予想していた映画製作者たちにはするどい洞察力があった」──そのように語るのは、米シンクタンク「ダヴィンチ研究所(DaVinci Institute)」のトーマス・フレイ(Thomas Frey)氏だ。「コミカルで間の抜けた調子で描いてはいたが、当時はばかげているとみられたに違いないものを予測するという、非常に優れた仕事を成し遂げたと思う」

 なかには、ちょっと先に行き過ぎた予測もあった。未来学研究者のジャック・ウルドリッヒ(Jack Uldrich)氏はAFPに、30年前には多くの専門家が、空飛ぶ車が「五分五分以上」の確率で実現すると予想していたと述べた。しかし現時点では、「空飛ぶ車を開発している企業は複数あるが、垂直方向に離陸することはできない」と指摘した。

 映画は、多くの技術者にインスピレーションを与えた。米カリフォルニア(California)州のヘンド・ホバー(Hendo Hover)は、磁力を利用した宙に浮くスケートボードを開発中だ。ナイキ(Nike)は、マーティが履いていたような自動で靴ひもが締まる靴の開発に取り組んでいる。

■「さて、次は?」

 SFは科学的進歩に影響を与え続けてきた。だが、技術の発達が加速するにつれ、それは難しくなっていくかもしれない。

 2045年までに人間は瞬間移動が可能なのか? タイムトラベルはできるか? 永遠の生命の秘密を発見できるのか?──これらの質問に専門家たちは「分からない」と口をそろえる。

 豪シドニー(Sydney)の未来学研究者、ロス・ドーソン(Ross Dawson)氏は、「30年後に容易に実現する可能性が高いのは、人間型やその他のロボットが、完全にわれわれの世界の一部になるということ」で、また、「人間が思考そのものを使って世界を動かすこと、さらには他人と思考を直接やり取りすること」の実現も期待できるという。

 しかし、未来予想のなかで、映画が大きく外した点もある。弁護士の制度が「廃止される」という予測だ。未来学研究者のウルドリッヒ氏は、「多くの人がそれを望んでいただろう」とコメントしたが、しかしそうなった場合、誰が人間とロボットの紛争を仲裁することになるのだろうか?(c)AFP/Mariette LE ROUX