【10月19日 AFP】フィリピン大統領選に、「銀河系間宇宙大使」や「大天使ルシファー(Archangel Lucifer)」らが立候補を届け出た。

 フィリピンでは来年の大統領選挙に向けて、先週の届け出期間に数十人の候補が名乗りを上げた。大統領選の「お騒がせ候補」はフィリピンの混沌とした民主主義に不可欠な存在とされる。

 アラン・キャレオン(Allan Carreon)氏はその一人。マニラ(Manila)の選挙管理委員会本部に、「銀河系間宇宙大使」という肩書きをプリントしたシャツを着て登場したキャリオン氏は、宇宙人から賢明な助言を受け取っていると述べ「宇宙人たちに、大統領選に出馬する意志を与えられた」と記者団に語った。

「宇宙大使」のライバルと目されているのは、ひげをたくわえたロメオ・ジョン・イゴニア(Romeo John Ygonia)氏。自分のことを「大天使ルシファー」と呼んでほしいと語る同氏は「主」の命令に従って出馬したという。「主」は誰なのかと質問したところ、「ルシファー」氏は謎めかして「主は私の心に住まわれている」と答えた。

「聖なる介入」を主張するもう一人の候補はマリタ・アリリャ(Marita Arilla)氏(70)。元教員のアリリャ氏は、フィリピン共和国を「神の王国」にする野心を持っている。「私は神の無限の力であるところの絶対君主制の主張を掲げる独立系候補だ」と記者団に語った。

 引退した警察官のロメオ・プラスキタ(Romeo Plasquita)氏(61)の掲げる志は、もう少し控えめだ。立候補の届け出の際、プラスキタ氏は「私は大統領候補にふさわしくない。私には資金がないし個性もない」と記者団に語った。同氏は5年間にわたって年金を受け取っておらず、政府の職員らに助けを求めても無視されたので、大統領選に立候補したという。「大統領候補になった今、彼ら(政府職員)も私に注目するだろう」と同氏は語った。

 選挙管理委員会によると、大統領選には15日午前までに60人以上の立候補の届け出があった。このうち当選の可能性があるとされている候補は3人だけで、残りは「泡沫候補」とみなされている。

 選管によると、調査の結果「選挙制度への冷やかし」であることが判明した候補や、実際に出馬する意図のない候補の届け出は受理しないという。選管委員長は「世間の注目を集めたいだけの人物に自由に出馬させるつもりはない」と語っている。(c)AFP