【10月13日 AFP】イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は12日、警官などが刃物で襲撃される事件が相次いでいることを受け、「刃物テロ」には屈しないと強調した。だがエルサレム(Jerusalem)では同日も刃物による襲撃事件が4件相次ぎ、不穏な情勢に歯止めがかかる気配は見られないことが示された。

 怒りを募らせたパレスチナ人の若者らは、イスラエルが実効支配する東エルサレム(East Jerusalem)とパレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)で激しい抗議行動を続けており、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長にも耳を貸さず、イスラエル政府による取り締まりにも臆する様子を見せていない。

 一方で、今月3日以降、刃物を使った襲撃も18件発生しており、第3次インティファーダ(パレスチナ住民による反イスラエル闘争)に発展する可能性を危惧する声が広がっている。

 これまでの襲撃事件で、イスラエル人2人が死亡。また負傷者は、12日に襲われ重傷を負った13歳の少年を含む約20人となっている。

 ネタニヤフ首相は過去の暴動に言及し、ロケット弾による攻撃も乗り切ったとして、「刃物テロにも屈しない」と表明した。

 しかし治安部隊は刃物による襲撃事件を防止できずにいる。こうした事件の大半は、若者による単独での犯行とみられている。

 12日に起きた最初の事件では、東エルサレム出身のパレスチナ人の若者(18)が旧市街(Old City)の入り口で警察官を刃物で襲撃し、他の警察官らに射殺された。襲われた警察官は防弾チョッキを着ていたためナイフは貫通せず、無事だった。

 警察によると、エルサレムの警察本部付近ではその後、女が警察官を刃物で刺し、その警察官による発砲で負傷した。

 その後、東エルサレムの入植地でパレスチナ人2人がイスラエル人2人を刺す事件が発生。犯行に及んだ17歳のパレスチナ人はその場で射殺され、もう1人の13歳も撃たれて重傷となっている。警察によると、被害者はいずれもユダヤ人で、1人は自転車に乗っていた13歳の少年、もう1人は25歳で、いずれも重傷を負った。

 さらに日没後には、エルサレム行きのバスの車内でアラブ系の男が非番の兵士を刺し軽傷を負わせた上、兵士が携行していた武器を奪おうとしたが、警察に射殺された。

 パレスチナの人権活動団体アルハク(Al-Haq)は、パレスチナ人の襲撃犯らが武装した警備担当者らに包囲され、死を招く脅威がなくなった時点でも、イスラエル当局は襲撃犯らを「殺すために発砲している」と非難。「国際法では、人命が真の危険にさらされた場合を除き、致死的暴力の使用は禁じられている」と指摘している。(c)AFP