【10月8日 AFP】体重を減らすことを目的としたいわゆる「減量手術」を受けた人が、後の人生で自殺を図る確率は、手術を受けていない人と比べて約50%高くなる可能性があるとする研究論文が7日、発表された。

 米国医師会雑誌(Journal of the American Medical AssociationJAMA)に掲載された研究論文は、カナダに住む8800人以上を対象に行われたもので、病的肥満を軽減する減量手術の実施前後の3年間を追跡調査した。肥満患者は、富裕国で増加しており、人口の6%を占めるとされる。

 深刻な過体重の人にメンタルヘルスの問題が一般的にみられることは、研究者らの間ですでに知られていたが、手術前の自傷行為の有無や、手術後にこうした行為が増加する可能性については分からないままだった。

 今回の調査でも、実際に自傷行為で救急搬送されたケースは少なく、こうした行為が確認されたのは、対象者8800人中111人による計158件にとどまった。しかしその確率をめぐっては、手術後に約50%高くなったことが確認された。また自傷行為の多くは、施術前からメンタルヘルスに問題があるとされた人のケースだった。

 論文の主執筆者で、トロント(Toronto)にあるサニーブルック研究所(Sunnybrook Research Institute)のジュナイド・バティ(Junaid Bhatti)氏は、研究結果が示唆しているものは、減量手術患者に対する術後のより丁寧なケアの必要性だと述べた。米国では年間20万人に対して同様の手術が行われている。

 論文では、自傷行為が急増したことへの明確な理由は特定されていないが、外科手術後の胃の縮小によってアルコールの代謝に変化が生じ、結果として危険な行為が増加する可能性も指摘された。(c)AFP