【10月6日 AFP】環太平洋連携協定(Trans-Pacific PartnershipTPP)交渉の参加12か国は5日、米ジョージア(Georgia)州アトランタ(Atlanta)で開いていた閣僚会合で、大筋合意に達した。地球上の経済の40%を占める世界最大の自由貿易圏の誕生に向け、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領にとって政策上の大勝利となる。

 TPP交渉の閣僚会合は当初の期限を延長し、5日間にわたって昼夜を問わず協議を重ねてきたが、5日未明、共同記者会見で交渉妥結を発表した。各国の担当閣僚の顔には疲労がにじんでいたが、米政府が主導し5年に及んだ交渉は、難航の末、ついにまとまった。

 TPPでは、21世紀の貿易・投資の枠組みを定めるとともに、TPP基準に沿った商業・投資・事業規制のあり方を導入するよう交渉未参加の中国に強く働き掛けていくことを目指している。

 TPPを任期2期目の優先政策に掲げるオバマ大統領は、合意内容について「米国の価値観を反映したもので、米国の労働者に本来得るべき公平な成功の機会を与える」「中国などに世界経済のルールを決めさせるわけにはいかない」などと述べた。

■日本は農産物で大幅市場開放へ

 カナダ、米国、日本は、砂糖やコメ、チーズ、牛肉などの農産物で大幅な市場開放が求められる。

 日本は、国内政治における長年の懸念材料でありオーストラリア、ニュージーランド、米国など輸出大国との慢性的な貿易摩擦をもたらしてきた食品輸入関税について、引き下げや非関税障壁の緩和で大きく譲歩した。

 一方、米国は日本車部品について、中国やタイなどTPP交渉未参加国からの輸入関税引き下げに合意した。

 12か国の合意には、投資家と国家の紛争解決条項や、知的財産権の問題、米国と豪州、ペルー、チリの間で焦点となっていたバイオ医薬品の開発データの保護期間なども盛り込まれている。

■根強い批判

 今回到達した合意は今後、各国で署名・批准される必要があり、多くの国で難航することが予想される。

 TPPをめぐっては、交渉の大部分は極秘に進められてきたため、商業利益のみが重視され、多数の国で公共の利益が二の次にされているという根強い批判がある。(c)AFP/Paul HANDLEY