■法整備だけでは不十分、迷信と闘うための教育を

 一方、専門家らは法整備だけでは十分ではないと指摘し、暴力につながるような迷信と闘うための教育を行うべきだとしている。

「健康、司法、農業などに関する無知が、犠牲者を生む根本的な問題だ」と、人権活動家のSashiprava Bindhani氏は同州の州都ブバネシュワル(Bhubaneshwar)で語った。

 急速に現代化が進むインドでは、主に部族や先住民族が暮らす多くの貧しい地域は無視されてきたが、魔術関連の犯罪が起きているのはこうした地域だ。近代的な病院など基本的な社会サービスが不足していることから、不運や病気を黒魔術のせいにする偽医者に通い続ける村人もいる。

「情報や基本的サービスの不足を解消しないと問題は解決しない」と、Bindhani氏は語った。

 魔女狩りはまた、家庭内のいざこざや土地をめぐる争いを解決するための言い訳としても使われている。家父長的な村では、不当に非難され標的にされるのは、ほとんどの場合、女性だ。

 ガニタさんは、森の中で家族が助けを求めて泣き叫ぶ声を聞きながら過ごした4時間は、人生のなかで「最も長く怖い」時間だったと語る。翌朝、近くの村の住民が彼を見つけ、警察まで連れて行った。

 ガニタさんは18歳になったらやることを決めている。「働き始めて、きょうだいを連れてどこか遠くへ引っ越す」(c)AFP/Bhuvan BAGGA