■免疫系の「臨界期」

 今回の研究では、子ども300人以上を対象として、生後3か月と1年の時点で便サンプルを検査した。

 検査の結果、特定の腸内細菌4種について、便サンプル中の細菌濃度が低い生後3か月の幼児は、ぜんそくの発症リスクが高いことが分かった。

 しかし、1歳になった時点で便サンプルを調べてみると、調査対象の子どもの間にはほとんど違いがみられなかった。このことは、生後100日間が、新生児の発達中の免疫系にとって「臨界期」であることを示唆している。

 さらに、多様性が低い腸内細菌を持っていた子ども22人については、数年間にわたって追跡調査を行った。その結果、うち8人がぜんそくを発症。残る14人は、研究に参加した他の子どもより、ぜんそくを発症するリスクが高いとみなされた。

 フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)、ラクノスピラ(Lachnospira)、ベイロネラ(Veillonella)、ロシア(Rothia)と命名された4種の腸内細菌を、幼児がどのようにして獲得するかについては不明のままだ。これらの腸内細菌を環境から自然に獲得した新生児もいれば、獲得できなかった新生児もいる。その理由を解明するには、さらに研究を重ねる必要がある。

 ぜんそくリスクが高い子ども22人の中に、生後数か月の間に抗生物質による治療を受けた子どもは一人もいなかった。これにより抗生物質は、腸内細菌の多様性低下の潜在的原因から排除された。

 だが研究チームによると、母親が同じ腸内細菌を保有しているかどうかの検査や、経膣分娩か帝王切開かといった出産方法、授乳が粉ミルクか母乳かなど、一因となった可能性があるその他の項目については調査が行われていない。今後の研究は、これらを視野に進められるという。(c)AFP/Kerry SHERIDAN