■力強めるヒンズー教強硬派

 死亡した男性の一家が牛肉を食べたという流言のきっかけは、ニューデリーから35キロ離れたダドリ(Dadri)村で子牛が行方不明になったと伝えられたことだった。

 同警察幹部は、「家族が牛肉を食べていると寺院で発表された後、群衆がアクラクさんの家に向かった」と語った。

 インド紙インディアン・エクスプレス(Indian Express)によると、アクラクさんの娘、サジダ(Sajida)さんは自宅の冷蔵庫に羊肉はあるが牛肉はなかったと語ったという。サジダさんは同紙に対し「彼らは牛肉を所持していると私たちを責め、家のドアを壊し、父と兄弟を殴り始めた。父は家の外に引きずり出され、れんがで殴られた」と語った。

 インド西部のマハラシュトラ(Maharashtra)州では今年3月、牛の食肉処理、さらには牛肉の所持さえ禁止する法律が施行された。宗教的少数派はこれを、ヒンズー至上主義のナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相が政権の座に着いて以降、ヒンズー教強硬派が力を強めていることを示す象徴的な出来事だとみている。(c)AFP