【9月29日 AFP】仏自動車メーカーのルノー(Renault)は28日、フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)で財政難に陥るロータス(Lotus F1 Team)を買収する内容の基本合意書に署名したと発表した。

 ルノーは、ロータスの現オーナー会社であるジェニー・キャピタル(Genii Capital)と合意に達し、コンストラクターとして「ルノーF1チームが2016年シーズンから活動する第一歩を刻んだ」と述べた。

 財政難に直面しているロータスは、先日の第14戦日本GP(Japan Grand Prix 2015)ではホスピタリティーの使用が認められないという恥辱をさらし、レース前にはエンジンの到着も心配される状況に置かれていた。

 しかし、ロータスは同日、チーム売却でルノーと合意に達したことで、英高等法院(High Court of Justice)による債務超過の手続きは見送られることになった。

 ロータスは、滞納していた270万ポンド(約4億9000万円)の税金を支払うことに合意し、裁判所からビジネス続行を「促す」ための10週間の猶予が与えられていた。

 裁判所は、「このビジネスを行う最大のチャンスは、ルノーによる救済である」としていた。

 レース前に問題が山積していたにもかかわらず、ロータスは日本GP決勝でロマン・グロージャン(Romain Grosjean)が7位に入り、好成績でフィニッシュした。

 その一方で、ルノーは過去に4年連続でタイトルを獲得したレッドブル(Red Bull)との8年にわたるパートナーシップを解消すると発表している。ルノーは、今季のエンジンに対するレッドブルからの批判に怒りを募らせていた。

 ロータスは今季、ジェニー・キャピタル社からの投資額が縮小されたことで、料金の未払いや資金繰りに苦しむなどの財政難に直面している。

 そして鈴鹿サーキット(Suzuka Circuit)では、昨季の負債に関連してホスピタリティーの建物から閉め出される事態に陥ってしまった。

 ロータスは、2012年と2013年にコンストラクターズ4位という好成績を残して以降、栄光の座から急落の一途をたどっている。この2年間では、当時所属していた元世界王者のキミ・ライコネン(Kimi Raikkonen)がGPで勝利を収めながらも、チームの給与未払いを訴え、2013年シーズンに2レースを残して退団している。

 2014年シーズンに奈落の底まで落ちたロータスの命運は、グロージャンが日本GPと同様に先月の第11戦ベルギーGP(Belguim Grand Prix 2015)で7位フィニッシュの健闘をみせたものの、今季もあまり好転していない。

 ロータス買収の動きは、2009年にルノーがチームをジェニー・キャピタル社に売却したのを事実上買い戻すことになる。ロータスは、2012年から「ロータスF1チーム」に改名してF1に参戦している。(c)AFP