■共同墓地で発見

 最初の8体分の人骨は保存状態が良好だったが、炭素年代測定法で分析した結果、時代が古すぎでモナリザとは合致しないことが分かった。

 一方、1545年まで使われていた共同墓地で見つかった別の4体を炭素年代測定したところ、大腿、すね、くるぶしの骨の断片のみが残っていた1体が、ゲラルディーニと同じ時代に生きていた人物のものであることが判明した。修道院の記録文書により、この共同墓地は1521年~1545年までの期間しか使われなかった可能性が高いことも明らかになったという。

 今回の調査を率いた歴史学者のシルバノ・ビンチェティ(Silvano Vinceti)氏によると、ゲラルディーニに関する資料は不完全なものであるにしろ、この期間に彼女以外の一般人がこの小さな修道院に埋葬されたことについての記載はないという。

 今回の発見では、見つかった骨から採取されるDNAとゲラルディーニの夫と息子の遺骨を照合・鑑定できることが期待されたが、親族の遺体が安置されていた地下墓所が非常に多湿だったため、数百年の間に、遺骨は朽ち果てて粉々になってしまっていた。

 グルピオーニ教授は「成人の歯数個以外には何も見つからなかった」と述べ、現在の技術ではこれらの歯からのDNA抽出は不可能と指摘した。同教授は、最新技術が開発された暁には、これらの歯がゲラルディーニの夫のものであることを期待して、もう一度抽出を試みたいと考えている。

 ビンチェティ氏は「人類学的調査から歴史的文書までのさまざまな要素を組み合わせることで、遺骨がリザ・ゲラルディーニのものである可能性が高いとの結論を下すことが可能になる」と話している。(c)AFP/Fanny CARRIER