【9月25日 Relaxnews】旧ソ連時代の共産主義にまつわる歴史に魅かれた中国人観光客たちが、ビザ免除制度も手伝ってロシアに大挙して押し寄せている。中国共産主義革命(紅色革命)の史跡を訪れる「レッド・ツーリズム(紅色旅遊)」の一環として旧ソ連の歴史名所を巡る新しい観光ツアーも登場した。

 ロシア連邦観光局によると、2014年に中国からロシアを訪れた観光客数は前年から10%増えた約41万人で、国別の外国人観光客数でもドイツを抜いてトップとなった。

 ロシア第2の都市、サンクトペテルブルク(Saint Petersburg)は帝政ロシア時代の首都で世界有数の美術館や豪華な宮殿などで有名。2014年には約2万6000人の中国人観光客が訪れた。同市では中国人観光客相手の通訳やガイドの仕事が前年から30%増えたという。

 だがロシアの観光当局者によれば、サンクトペテルブルクを訪れる中国人たちのお目当ては欧州風の美しい街並みや運河ではない。

 中国人旅行者たちの多くは、3つの革命――1905年1月の第1次革命、1917年の二月革命と十月革命――の舞台となったサンクトペテルブルクの激動の歴史に浸りたいのだ。この十月革命によって帝政ロシアは崩壊し、ソビエト連邦時代が幕を開けた。

■ロシア革命に魅せられる中国人

 中露両政府は7月、旧ソ連の初代最高指導者ウラジーミル・レーニン(Vladimir Lenin)ゆかりの場所をたどってロシア4都市をめぐる公式観光ツアーを発表した。

 ツアーは8日間の日程で、首都モスクワ(Moscow)からスタート。中国人ツアー客たちは旧ソ連時代の重厚な建物やモスクワ地下鉄の壮大さに驚嘆させられる。モスクワの赤の広場(Red Square)には、保存処理を施したレーニンの遺体が安置されたレーニン廟もある。

 次にツアー客たちは、ボルガ川(Volga River)に臨むレーニンの生誕地、ウリヤノフスク(Ulyanovsk)に向かい、続いてレーニンが学んだ大学があるカザニ(Kazan)を訪れる。

 ツアーは1917年に十月革命が起こったサンクトペテルブルクを訪れて終了。旅行代金は航空運賃を除いて1人あたり1000ドル(約12万円)で、来年までに本格化させるとしている。

 ウリヤノフスク観光当局のセルゲイ・ラコフスキー(Sergei Lakovsky)氏は「革命や人民による独立闘争というテーマは、われわれロシア人同様に中国の人たちにとっても重要なのです」と話す。

 一方、これに応じて中国側もロシア人観光客を対象に、中国の初代国家主席、毛沢東(Mao Zedong)ゆかりの地をたどるツアーを企画している。(c)Relaxnews/AFPBB News