【9月23日 AFP】欧州連合(EU)は22日、ベルギーの首都ブリュッセル(Brussels)で閣僚理事会を開き、難民12万人を加盟各国で分担して受け入れることを決定した。しかし中欧、東欧諸国からの強い反対を押し切った形となり、EUの一致団結という意味では大きな痛手となった。

 受け入れ分担の採決では、ハンガリー、チェコ、ルーマニア、スロバキアの4か国が反対票を投じ、フィンランドが棄権した。第2次世界大戦(World War II)以降、最大の移民危機に直面しているEU内の亀裂は深まった。

 理事会後、チェコのミラン・ホバネツ(Milan Chovanec)内相は失望感をあらわにして、「王様は裸だということが間もなく分かるだろう。常識はきょう失われた!」と、ツイッター(Twitter)に投稿している。

 EU加盟各国は、大きな議論を巻き起こした今回の取り決めにより、シリア、アフガニスタン、エリトリアを出発し、EU圏内の最前線に位置するギリシャやイタリアに到着した人々を分担して受け入れることが義務付けられる。

 理事会に出席した閣僚らは、翌23日に難民問題について協議するEU首脳会談での承認に向け、合意を取り付ける必要に迫られていたものの、結束力を示すことを重視するEUが、全会一致ではなく多数決で合意したのは異例の措置だ。

 関係者らの話によると、受け入れ分担が進められるのは、ギリシャとイタリア入りしている6万6000人に加え、ハンガリーが今回の案を拒否する以前に同国から別のEU加盟国に割り当てられていた5万4000人になるという。(c)AFP/Danny KEMP/Lachlan CARMICHAEL