【9月19日 AFP】チリ当局は、5年前の地震で多数の犠牲者を出して責任を問われた教訓から、今週起きた大地震では犠牲者の数を減らすことに成功したと、専門家らは指摘している。

 16日午後7時54分(日本時間17日午前7時54分)にチリ沖を震源とするマグニチュード(M)8.3の地震が発生。その後チリ北部沿岸を津波が襲った。この地震と津波により18日夜の時点で13人の死亡が確認され、6人が行方不明になっている。

 しかし、犠牲者の数は、マグニチュード8.8の地震と津波が起きた2010年2月より、はるかに少なかった。このときは約500人が命を落とした。

 国連国際防災戦略(UNISDR)のマルガレータ・ワルストロム(Margareta Wahlstroem)代表はチリの地震対応についての声明の中で、「チリは、素早く復旧できるインフラの整備、早期警報システム、都市計画に投資したことによって、今回は大きな地震だったにもかかわらず犠牲者の数を低く抑えることができた」と述べた。

 5年前、チリ当局は、地震が起きた直後に混乱した情報を発表。津波警報が解除されて住民が沿岸部の自宅に帰ってから数時間後に大津波が襲い、100人以上が犠牲になった。この失態の責任を問う訴訟は今も続いている。

 今週起きた地震は、今年、世界で発生した地震の中で最も大きく、地震の多い同国でも史上6番目の強さを記録した。

 しかし今回は、地震発生から数分以内に海軍が全国に津波警報を発令。徐々に自宅に帰り始めていた100万人が避難した。「100万人を避難させたことで5年前の人命損失を繰り返さなかった」とワルストロム代表は指摘した。

 太平洋海盆(Pacific Basin)を弧状に断層線が囲んだ環太平洋火山帯(Ring of Fire)に位置するチリは火山の噴火や地震が多い。そこでチリは何年も前から、耐震システムや、地震の震動から建物を守る免震システムを取り入れ、耐震化を進めてきた。