【9月17日 AFP】寝る前にコーヒーを飲むと、予定の就寝時間に眠りにつくのが難しくなり、朝起きるのがさらに辛くなるのは、カフェインによって体内時計が乱されるからだとする研究結果が16日、発表された。

 米研究チームが米医学誌「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン(Science Translational Medicine)」に発表した研究については、カフェインを含む飲料を夜に飲むことで就寝と起床が遅くなる理由を説明するだけでなく、将来的には、時差ぼけの影響を抑える目的でカフェインを使用するのに適したタイミングについてのヒントをたらす可能性もある。

 研究は、被験者5人を対象に行われ、それぞれに、就寝3時間前にダブル・エスプレッソの含有量に相当するカフェインを摂取させる、明るい光にさらす、プラセボ(偽薬)を与えるといったタスクを無作為で与えた。

 被験者をさまざまな条件下に置いて調査するこの実験は49日間にわたり実施された。その間、被験者の唾液を定期的に検査し、睡眠と覚醒の周期を自然に調節するホルモン「メラトニン」の濃度を調べた。

 論文によると、低光量の条件下でカフェインを摂取させた被験者は、約「40分間のメラトニン概日(24時間周期)のリズムの位相後退(遅い時間へのずれ)」を経験したことが、今回の実験で分かったという。

 他方、就寝3時間前に明るい天井照明にさらされた被験者では、体内時計に85分間の遅れ、またカフェイン摂取と明るい光の両方の条件下に置かれた被験者は、体内時計に105分間の乱れが生じた。

 米コロラド大学ボルダー校(University of Colorado at Boulder)のケネス・ライト(Kenneth Wright)教授は「世界で最も広く使われている向精神薬のカフェインが、人間の体内時計に影響を与えることを示したのは、今回の研究が初めてだ」と語り、また「この研究は、カフェインが人間の生理機能に及ぼす影響に関する最新の興味深い知見をもたらすものだ」と続けた。

 今回の研究結果は、寝る前のカフェイン摂取は避けるようにとの一般的なアドバイスの説得力を高める一方で、カフェイン適切な使用が時差ぼけを回避するために体内時計をリセットする一助となり得る「興味深い」可能性を秘めたものと論文は述べている。

 だが、日付変更線を横断する旅行者が眠らずに活動を続けるための、カフェインの最も効果的な利用方法を決定するには、さらなる研究を重ねる必要がある。「このような条件下でカフェインが誘発する睡眠の乱れについては、時差ぼけを悪化させる恐れがあり、経過の観察が重要になる」と論文は指摘している。(c)AFP