NYの新星デザイナー、ロージー・アスリーヌが注目される理由
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【9月16日 AFP】米ニューヨーク(New York)出身のデザイナー、ロージー・アスリーヌ(Rosie Assoulin)は、ほんの2年で自身のブランドを確立し、洗練された感性と、快適さも持ち合わせた服作りが高く評価されている。
ブルックリン(Brooklyn)生まれの30歳。母親でもあるロージーは、ファッションスクールでの正規の教育は数か月しか受けていない。初めて祖母のミシンを使ってファブリックとデザインの実験を始めたのは、13歳の時だったという。
ロージーが最初に師事した人々の一人が、ジュエリーデザイナーで今では義母となったロクサーヌ・アスリーヌ(Roxanne Assoulin)だ。その後ドミニカ共和国出身の伝説的ファッションデザイナー、オスカー・デラレンタ(Oscar De La Renta)の下でインターンとして働いた他、フランス・パリ(Paris)の「ランバン(Lanvin)」で1年間修行した経験もある。
今回、同市グリニッジ・ビレッジ(Greenwich Village)にある水を抜いた公営プールを会場に行われたロージーのショーの舞台裏で、ロクサーヌはAFPに対し、「ロージーが14歳の時に働いている様子を目にしました。彼女には昔から[才能が]備わっていたんです」と明かした。
その数年後、ロージーがあるパーティーに着てきたドレスのことを、ロクサーヌは懐かしく覚えているという。「ロージーはそれを当日の午後に作ったんです。糸を持っていなかったので、ホテルにあったあらゆる糸を使っていました。全部違う色です。当時は18色あるようなドレスも作っていましたね」
漆黒の髪と地中海(Mediterranean Sea)を思わせる容姿のロージーは、さまざまな人種が入り混じった血筋を持ち、地球上で最も国際的な都市の一つで育った。
2013年には、単独で最初のコレクションを発表。快適な素材を使って作った着心地の良い服ながら、非の打ち所のない職人技が生み出す魅力を備えたものとなった。
■明確なビジョン
ロージーは女性たちに、内面の複雑さと個性を表現する服を提供したいと考えている。「個人的な共感を込めたいと思っています。個人的なつながりのないものを作る必要性を私は感じません。『一女性』などというものは存在しないのです」
ロージーのファッションは、本人そのものを映し出している。知的で女性らしいが、ひけらかすところがない。
ロージーのコレクションをサポートしているロクサーヌは、こう語っている。「ロージーにはビジョンというものがあるので驚かされます」「私たちはスタイリングをしていて、時々ビジョンが見えないことがあります。でもロージーは常に自分がこうしたいという考えを持っていて、自分が求めているものは何か、そしてそれをどうしたいかが頭の中ではっきりと見えているのです」「最終的にすべてまとまったものを目にすると涙が出てきます、ロージーにはこのビジョンがあったのかと」
ロクサーヌの影響というものは、最終的な作品の中には見つけられない。ロージーが「いったん自分の中に取り込んで、変えてしまうから」だという。
今年ロージーは「CFDAファッション賞(CFDA Fashion Awards)」の1部門で受賞した。またロージーの服は、ニューヨークの最高級百貨店であるバーグドルフグッドマン(Bergdorf Goodman)や、パリでも販売されている。
ドレスやロングスカート、ワイドパンツなど、ニューヨークファッションウィークで発表されたロージーのコレクションには、本人のDNAが表現されている。シンプルで色は控えめ、どれだけの犠牲を払っても目立とうという気負いがない。(c)AFP/Thomas Urbain