【9月16日 AFP】英ファッションデザイナーで環境活動家のヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood、74)が11日、デービッド・キャメロン(David Cameron)英首相の地元選挙区に戦車で乗り付け、水圧破砕法(フラッキング)によるシェールガス開発に異議を唱えるという異色の抗議行動を行った。

 フラッキングは、頁岩(シェール)層から天然ガスを採取するために、砂や化学物質を添加した水を地下深くの岩石層に高圧注入する技術。英国では試掘用の井戸はすでに多数掘られているが、シェールガスの商業生産はまだ行われていない。キャメロン首相はこの技術を使用して成功した米シェールガス業界の後に続きたい考えだが、英国内の多くの地域で激しい反発を受けている。

 かつてパンク・ムーブメントの火付け役ともなったヴィヴィアンは抗議行動の当日、スタンドカラーのジャケットに真珠のネックレスといういでたちで戦車に乗り込み、イングランドの田園風景の中を走り抜けて、オックスフォード(Oxford)に近いチャドリントン(Chadlington)村に入った。車体に国連を意味する「UN」という文字が黒々と書かれたこの戦車の上でヴィヴィアンは、黄色いはたきを振りかざした。

 ヴィヴィアンは声明で、フラッキングを推し進めるためにキャメロン首相は「軍を動員して」いる一方で、自分の選挙区では一切、フラッキングを認可していないと指摘。「自宅の裏庭ではやりたくないという考えだ」と批判した。首相が所有するコテージのそばに到達すると警官が監視する中、ヴィヴィアンは戦車から降り立ち、ガスマスクを着用したデモの参加者らとフラッキングに反対する旗を振った。

 週末をこのコテージで過ごすことの多いキャメロン首相だが、この時はヨークシャー(Yorkshire)を訪問中で不在だった。(c)AFP