【9月15日 AFP】ハンガリーは14日、セルビア側から入国する移民らの主要な入り口となっていたフェンスの切れ目を閉鎖した。オーストリアとスロバキアは同日、ドイツに続き国境検問を再導入。一方の欧州連合(EU)内相が開いた緊急会議は、大量に流入する難民の受け入れ分担案の合意には至らず終了した。

 欧州では、国境検問を再導入する国が相次いでいることから、旅券(パスポート)なしでの自由な移動を認めた「シェンゲン(Schengen)協定」の根底が揺らいでいる。ポーランドも検問再導入を検討中で、オランダは国境警備の強化を表明した。

 ドイツ・オーストリア間の国境地帯では交通渋滞が発生。ハンガリーと接するEU非加盟国セルビアの国境地帯では行き場を失った難民らがとどまっており、混沌とした状況が続いている。

 しかし、ベルギーのブリュッセル(Brussels)で開かれたEU内相会議では、難民12万人を分担して受け入れ、シリアやアフガニスタンなどから戦争を避けてきた人々が殺到している国々の負担をやわらげる提案が、東欧諸国の反対で合意に達しなかった。会議を終えたディミトリス・アブラモプロス(Dimitris Avramopoulos)欧州委員(移民担当)は、10月中の合意を目指す方針を示した。

 ハンガリーは15日から、不法移民の拘束を開始すると発表している。14日には、オルバン・ビクトル(Orban Viktor)政権が完成を急いでいるセルビア国境沿いの鉄条網フェンスの切れ目を警察がふさいだ。現場のAFP記者によると、ロスケ(Roszke)の越境地点では、子どもを含む数十人の移民が行き場を失い、セルビア側に取り残された。

 難民らの大半は、経済大国であるドイツ入りを目指している。同国は今年だけで100万人の難民を受け入れることになるという見方を示している一方で、13日には歓迎姿勢を一転、国境での検問を開始した。

 地中海(Mediterranean Sea)を渡って欧州入りを目指す人々のうち、今年に入って2700人以上が死亡している。そのうちの一人となった、水死したシリア人移民の子どもの痛ましい写真が世論を動かしたにもかかわらず、解決策を模索するEU各国関係閣僚の意見は分かれている。(c)AFP