■日焼け代欲しさに窃盗、がんになっても続ける人も

 日焼けサロンは1980年代に米国で生まれた。やがて、同国の研究者らの間で日焼け依存の問題が指摘されるようになり、日焼け依存症は2000年代以降、「タノレキシア(tanorexia)」と呼ばれるようになった。「拒食症」を意味する「アノレキシア(anorexia)」からきている言葉だ。

 肌を焼く心理について研究している東テネシー州立大学(East Tennessee State University)のジョエル・ヒルハウス(Joel Hillhouse)教授(公共衛生学)によれば、症状はヘロインの依存症に似ているという。皮膚がんになっても「日焼け用ベッド」を使い続ける人もいると、同氏は言う。また、ルームメートや親から金を盗んでまで日焼けサロンに通う人もいたという。

 研究者らによれば、紫外線を浴びること自体、依存症につながり得る。「日焼けしている人々が肌を焼きたがる理由は、自分の見た目だけでなく、日焼けによって得られる感覚にもある」と、米サウスカロライナ(South Carolina)州ウェイク・フォレスト大学(Wake Forest University)のスティーブ・フェルドマン(Steve Feldman)教授(皮膚科学)は言う。

 太陽光は、リラックス効果や、モルヒネから得られるような高揚感をもたらすホルモン、エンドルフィンの放出を促すのだという。