【9月11日 AFP】世界で高血圧や喫煙など回避可能な健康リスクとの関連による死者数が1990年以降、約23%増加したとする研究論文が11日、発表された。

 英医学誌ランセット(The Lancet)に掲載された研究は世界188か国を対象としたもので、世界保健機関(World Health OrganisationWHO)や世界銀行(World Bank)などの各種データに加えて、100か国を超える国々の科学者約1000人から提供された統計を基にまとめられた。

 研究は79の健康リスクによって2013年に3080万人が死に至ったとの結論に達している。人口増加と高齢化を考慮した場合でも1990年比で570万人も増えている。

 2013年に危険度が最も高かった健康リスクは診断も治療も容易な高血圧で、計1040万人の死亡の一因となっていた。

 高血圧に続く健康リスク上位の4つは喫煙、肥満、高血糖、塩分の過剰摂取で、世界全体の死者数を22.7%押し上げたという。

■健康リスクの危険度に男女差

 最も危険な健康リスクは1990年以降、欠乏に起因するものから過剰摂取を原因とするものへと著しく変化した。

 死亡につながる健康リスクの上位グループは、すべて食習慣に関連したものだ。赤身肉や糖分を含む飲料を多く摂取する一方で果物や野菜の摂取量は少ない食生活が一因で死亡した人は、2013年の死者のうち21%を占めている。

 このほか、性別によって疾病の発症や死亡に大きな違いが生じることが明らかになった。

 例えば喫煙は、男性では死につながるリスク要因の第2位で2013年には440万人が死亡している。これに対し、女性で喫煙を原因とする死者は男性よりも6割ほど少ない。

 またアルコール摂取についても、男性ではリスク要因の上位10内に入るが、女性の場合は主な死亡原因ではなく塩分の過剰摂取など食生活に起因するリスクが最も高くなっている。

 こうした研究結果について論文の共同執筆者、米ワシントン大学(University of Washington)のアリ・モクダド(Ali Mokdad)氏は「端的に言えば、われわれは悪しき生活習慣を送っているということだ」と説明。「こうした習慣は避けられるもので、個人でも地域としてもなんらかの手段を講じられるはずだ」と述べ、健康リスクに起因した死を防がなければならないと強調した。

 今回の研究にはビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(Bill and Melinda Gates Foundation)が出資している。(c)AFP/Joshua MELVIN