【9月9日 AFP】ローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王は8日、信者の「婚姻の無効化」の手続きを簡素化、迅速化した。また無償化も推進している。破綻した婚姻関係について、過去約3世紀の間に教会が見直しを行った中で、最大の改革となった。

 改革の詳細は同日、法王が世界中のカトリック教会に宛てて送った書簡が公表され明らかになった。この書簡の中で法王は、これまで婚姻の無効化には、2か所の教会裁判所による承認を必要としていたが、今後は1か所のみの承認で可能になるとしている。

 また、大半の手続きでこれまでのような聴聞は行わず、各司教の判断に任せるという形で手続きの簡素化を図っていく。バチカン裁判所への上訴は引き続き可能とするが、特別な場合に限るとしている。さらにこの書簡では司教会議に対し、婚姻の無効化手続きを可能な限り無償化していくよう要請している。

 この問題についてはバチカン(ローマ法王庁)の専門家らが、これまで1年にわたって検討してきた。フランシスコ法王は、信仰の下で困難な状況に置かれている信者らに対し、より寛容を示す方針でさまざまな改革を行っている。先週には、中絶を行った女性たちにゆるしを与えるよう促し、同性愛についてもより寛大な態度を示した。今回の改革案はその最新の動きといえる。

 婚姻の無効化に関する検討委員会を率いてきたピオ・ビト・ピント(Pio Vito Pinto)枢機卿は記者団に対し、今回の改革は18世紀半ば以来最大のものだと述べた。

 法王が婚姻の無効化手続きを簡素化したことで、今後手続きの申請増加が見込まれるが、ピント枢機卿は、この書簡は婚姻無効化が認められる特別な条件を改めるものではないと述べ、今回の改革が事実上、教会による離婚の承認につながるのではという見方を払しょくした。

 結婚は生涯に一度のみという考えは、カトリックの根源的な信条の一つだが、先進国の信者の間では離婚は珍しいことではなくなっている。教義では、婚姻関係が初めから全く機能していなかったと判断された場合に限り、その無効化、つまりその婚姻関係は存在しなかったと宣言することを認めている。(c)AFP/Jean-Louis DE LA VAISSIERE / Angus MACKINNON