【9月8日 AFP】英国のデービッド・キャメロン(David Cameron)首相は7日、英空軍が先月にシリアで初めて無人機による空爆を行い、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」の英国人2人を含む戦闘員3人を殺害したと発表した。

 英国が交戦中でない国で空爆を実施したのは初めて。キャメロン首相は、死亡した3人のうち、21歳の英国人の男について、英国内で今夏に予定されていた式典を狙った「野蛮な」攻撃を計画していたと説明。無人機攻撃は「完全に合法」で「自衛のための措置」だったと主張した。

 首相はそれ以上の説明は避けたが、英紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)は、男が指揮していた襲撃計画について、8月にロンドン(London)で行われ首相とエリザベス女王(Queen Elizabeth II)が出席した対日戦勝記念日の式典が標的だったと報じている。

 英国はイラク領内の対IS空爆をすでに実施しているが、首相は空爆作戦をシリア領内にも拡大できるようにしたい考えで、2年前に作戦拡大を拒否した議会に対し、改めて正式な承認を求めていくとしている。

■仏もシリア空爆を準備

 一方、フランスのフランソワ・オランド(Francois Hollande)大統領は7日の記者会見で、シリア領内での対IS空爆に向けた準備として、偵察飛行を行うと発表した。

 オランド大統領は「国防省に対し、あす(8日)からシリア上空での偵察飛行を開始するよう要請した。ダーイシュ(Daesh、ISのアラビア語名の略称)への空爆を計画するためだ」と述べた。

 フランスは今年に入り、相次いでイスラム過激派による攻撃の標的になっている。直近では先月、過激派とみられる武装した男が高速列車の襲撃を試みたが、乗客に取り押さえられる事件が発生した。

 オランド大統領に対しては、欧州が直面している移民危機とも重なり、何らかの行動を起こすべきだとする政治的な圧力が強まっていた。欧州に大量流入している人々の中には、シリアの混乱から逃れた難民も含まれている。(c)AFP