【9月7日 AFP】フランスのベルサイユ宮殿（Palace of Versailles）の庭園に展示され、「女王の性器」の通称で知られている彫刻作品が6日、再び落書きの被害を受けた。今度は、反ユダヤ人的な言葉が書かれていたという。当局が明らかにした。

 同作品は、6月にも黄色いスプレーによる落書き被害に遭い、塗料の除去作業が行われていた。だが、作品を手がけたインド系英国人の現代彫刻家アニッシュ・カプーア（Anish Kapoor）氏（61）は今回の落書きをそのまま残し、憎悪の証明にする意向を示している。

 同作品の正式名は「汚い隅（Dirty Corner）」で、開口部が宮殿を向いた巨大なじょうご形の彫刻と、それを取り囲む岩で構成されており、カプーア氏は以前、「権力を握っている女王の女性器だ」と説明していた。

 宮殿管理当局によると、じょうご形の部分とその周辺の岩に、「SSの血の犠牲」「女王が犠牲になった、2度辱められた」「異常なユダヤ人の行動主義による国家に対する2度目のレイプ」「ベルサイユでは、キリストが王だ」との言葉が、白い塗料のスプレーで書かれたという。

 フランソワ・オランド（Francois Hollande）仏大統領は落書きを「憎しみに満ちた反ユダヤ主義だ」と非難。カプーア氏は日刊紙フィガロ（Le Figaro）に、今回は「忌まわしい言葉」を彫刻の一部として残すつもりだと述べた。(c)AFP/Pascale MOLLARD