■公立校離れ

 しかし、住民の民族多様性とユダヤ人の多さで知られる、パリ(Paris)郊外サルセル(Sarcelles)のフランソワ・ピュポーニ(Francois Puppon)市長にとって事情は異なる。

「こうした極端な立場を取る人々は、自分たちが求めていることと正反対のことをしていると理解できない」と指摘。「彼らは公立学校と運命を共にするだろうが、そこに残る生徒は誰もいないかもしれない。信仰心の強い人々は去り、公立学校はもはや様々な人々が交流する、あらゆる人々にとっての対話と教育の場ではなくなるだろう」と述べた。

 同市長は、多くのユダヤ人の子どもたちが今、公立学校でコーシャー食品が出されないなどの理由で、私立学校に通っているとし、「子どもたちを公立学校に入れたいが、子どもたちにはコーシャー食品を食べさせたいという保護者は以前からいたが、最近では、イスラム教徒からも同様の意見が出始めている」と語った。

 では、イブ・ジェーゴ議員が提唱するベジタリアンの食事という選択肢はどうだろう?

 費用がかかりすぎ、バランスのよいメニューを作るのが大変で、子どもたちは恐らく避けるだろうとの批判がある。

 しかし、中部サンテティエンヌ(Saint-Etienne)では1月から、ガエル・ペルドゥリオ(Gael Perdriau)新市長が、一部の生徒が宗教的な理由で食べられない食品があることに気づき、保護者などに追加費用を課すことなくベジタリアンの食事を提供している。

 現在は、生徒の15%が、レンズ豆のサラダとニンジンとコメ入りのオムレツ、チーズ、果物といったベジタリアンメニューを選択しているという。「こうしたメニューは、菜食主義や宗教など様々な問題に対処している。もしある種の食品が気に入らないのであれば食べなければいい、などという議論は、私は少し不健康だと思う」と同市長は語った。(c)AFP/Marianne BARRIAUX