■犯罪者「ファン」に性的虐待被害の傾向

「殺人者を愛した女たち(Women Who Love Men Who Kill)」と題する本を執筆にあたり、女性30人を取材した米国人作家シーラ・アイゼンバーグ(Sheila Isenberg)氏によれば、犯罪者に魅かれる傾向のある女性は、性的虐待の被害者である場合が多いという。

 アイゼンバーグ氏はAFPに「父親や他の男性から性的虐待を受けたことがある女性にとっては、自分が支配するチャンスになる。相手の男性は死ぬまで刑務所に入っていて、何もコントロールできない状態にあるのだから」と説明した。

 米ウェスリアン大学(Wesleyan University)心理学部のアマンダ・ヴィカリー(Amanda Vicary)助教は、通説ではこうした女性には、自分が殺人犯の更生を助ける使命を負っているという思い込みがあるといわれているが、これを裏付ける科学的な証拠はないと指摘する。「有名な男性たちに魅力を感じやすい女性もいる。ひどい犯罪を犯した男に一部の女性たちがひかれる理由が、その男の行動ではなく、その行動によって有名になったからだというのは考え得ることだ」

 だが、ビクトリアさんにとって、ブレイビク受刑者が有名なことは重要でないという。ではなぜ、恐怖におののき、どうか殺さないでと助けを乞う10代の若者たちを容赦なく殺害した男を、ビクトリアさんは愛せるのか。「アンネシュとブレイビクを、分けて考えなければいけないのだと思う。アンネシュは古い友人、あれを全部やったのは、ブレイビクだと」(c)AFP/Pierre-Henry DESHAYES