【9月3日 AFP】地球上には約3兆本の樹木があるとの調査結果が2日、発表された。世界人口1人当たりではおよそ422本で、従来の推定より8倍多い「驚くべき」結果だという。

 米エール大学(Yale University)の専門家らが率いる15か国の国際研究チームは、これまでで最も包括的と同チームが主張する樹木の全数調査を行うため、本数を数える昔ながらの調査方法と、人工衛星とスーパーコンピューターの最先端技術を組み合わせて用いた。

 論文主執筆者でエール大林学環境学部のトーマス・クローサー(Thomas Crowther)氏は「思いもよらなかったことだが、数兆本レベルの話になっていることに気付いて本当に驚いた」と話す。

 だが、英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された論文によると、今回の調査では、文明が始まって以降の森林面積の半減についても推算されたという。これは良い知らせではない。

 森林破壊のペースも衰えていない。現在、毎年約150億本が人間の手で伐採されていることが、今回判明している。

 研究では、世界の40万の森林地域を対象にした樹木本数の検証済み算定報告に基づく調査が行われ、さらに気候、地形、植生、土壌状態、人間の影響などの因子が、樹木密度にどの程度の影響を及ぼしているかを判定するため、衛星画像も使用された。

 樹木本数を概算するためのモデルを局所レベルで構築した後、地球上にある樹木推定3兆400億本の世界地図を作製した。

 エール大学は、声明で「樹木密度が最も高い地域は、ロシア、スカンディナビア(Scandinavia)、北米などの亜寒帯の北方林にみられた」ことを指摘。その上で「だが、圧倒的に最大規模の森林地域は、熱帯地方にある。これらの地域には、世界の樹木の約43%が存在する」と説明した。

 そして今回、樹木本数に影響を与えるすべての因子の中で、主に森林伐採や土地利用の変化などによる人間の活動が、群を抜いて最大の影響を及ぼしていることが、研究チームの推算結果で明らかになった。

 クローサー氏は「人間は、地球上の樹木の本数をほぼ半減させた。その結果として、気候や人間の健康に影響が生じていることが確認されてきた」としながら、「世界中で健全な森林を取り戻すには、さらにどれだけの努力が必要かを、今回の研究は浮き彫りにしている」と述べた。

 樹木は、酸素、燃料、動物のすみかなどを提供する以外に、大気中に放出されると地球温暖化の一因となる重大な量の炭素を蓄積することもできる。

 温室効果ガス排出に起因する破壊的な気候変動に歯止めを掛けるための国際条約の締結を目指して、ドイツ・ボン(Bonn)で開催中の国連気候変動会議では、森林破壊の阻止が最重要課題の一つになっている。(c)AFP/Mariette LE ROUX