【9月1日 AFP】睡眠不足の人が風邪を引く確率は、十分に休息をとった人より4倍高いとの研究結果が8月31日、発表された。

 米学術誌「スリープ(Sleep)」に発表された研究結果は、睡眠習慣を追跡調査したボランティア被験者164人を対象とした、自発的に風邪ウイルスにさらされる実験に基づくものだ。

 研究チームはまず、ストレス、気質、アルコールや喫煙の習慣などの因子を把握するため、被験者に健康診断を受けさせ、質問票に回答させた。

 被験者の習慣的な睡眠時間は、実験開始前の1週間で測定した。実験では、米ペンシルベニア(Pennsylvania)州ピッツバーグ(Pittsburgh)にあるホテルに被験者を滞在させた。

 研究チームは、ホテルに隔離した時点で被験者に風邪ウイルスを点鼻剤で投与し、ウイルスが定着したかどうかを確認するために粘液サンプルを毎日採取して、1週間にわたり観察した。

■5時間睡眠、風邪のかかりやすさ4.5倍

 その結果、実験開始までの1週間で、1晩の睡眠時間が6時間未満だった人は、7時間を越える睡眠を取っていた人に比べて、風邪にかかる確率が4.2倍高いことが判明した。睡眠時間が5時間未満の人は、風邪にかかる確率が4.5倍高かった。

 論文主執筆者の米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San Francisco)のアリック・プレイザー(Aric Prather)助教(精神医学)は「短い睡眠は、被験者が風邪にかかる確率を予測する場合に、他のどの因子よりも重要だった」と話す。

「被験者の年齢、ストレスレベル、人種、教育、所得などとの関係性は認められなかった。喫煙者かどうかも関係なかった。これらの因子すべてを考慮しても、やはり睡眠が最も統計的に重要だった」

 睡眠不足は、慢性疾患、早死に、病気のかかりやすさ、自動車事故、産業災害、医療ミスなどと関連性があることが、これまでの研究で指摘されていた。

 米睡眠財団(US National Sleep Foundation)の2013年の調査によると、米国人の5人に1人は、勤務日の夜の平均睡眠時間が6時間に満たないという。(c)AFP