【8月27日 AFP】タイ北部チェンマイ(Chiang Mai)県で26日、中国人観光客の家族3人を乗せたゾウが暴走し、ゾウ使いの男性が死亡した。ゾウは観光客を乗せたまま森へと逃げたという。警察当局者が明らかにした。

 チェンマイ県メーワン(Mae Wang)地区の警察署長はAFPに「死亡したゾウ使いの男性はカレン人。このゾウは男性にまだ慣れていなかった。観光客らは現在は安全な状態にある」と語った。カレン人はタイ北部に多い少数民族。

 警察当局によると、事故が起きたのは26日午前9時半(日本時間同11時30分)。事故当時、中国人観光客の親子──両親と幼い子どもの3人──がこのオスのゾウの背中に乗っていた。

 ゾウの背中に乗るアトラクションは観光客に人気で、収入も良い。だが多くの動物愛護団体は、この行為を残酷でゾウにストレスを強いるものだと批判している。

 政府系テレビ局のチャンネル3(Channel 3)によると、ゾウは新しいゾウ使いに慣れていなかったとされ、突然暴れ出したのだという。チャンネル3が放映した映像には、他のゾウ使いたちによって落ち着きを取り戻したゾウが、おびえた表情の観光客の3人を乗せてキャンプに戻って来る様子がとらえられていた。

 タイで飼育下にあるゾウは約4000頭で野生のゾウの推定2500頭を大きく上回っている。

 ゾウはタイの国獣だが、森林の伐採が禁止された1989年以降、職を失った人々が観光客向けにゾウを大々的に利用するようになった。しかし事故もたびたび起きている。6月には浜辺のレストランで食事をしていた客がゾウ使いに話しかけたところ、突然ゾウが暴れだし、1人が死亡、1人が負傷している。(c)AFP