【8月25日 AFP】国連安全保障理事会(UN Security Council)は24日、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)など性的少数者の権利に関する初の会合を開いた。非公開で行われた会合では、シリアとイラク出身の男性同性愛者2人が、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」支配下での恐怖に満ちた生活について証言した。

 故郷のシリア北西部イドリブ(Idlib)を逃れ、今は米国の難民組織で働いているスービー・ナハス(Subhi Nahas)さんは会合で、イドリブの状況について、同性愛者らが建物の屋上から突き落とされたり、投石されたりして殺害されており、「それを見て、子どもを含む数百人の住民が、まるで結婚式のように歓声を上げる」と証言。「『イスラム国』では、同性愛者は常に追跡され、殺害されている」と述べた。

 ハナスさんによると、ISがイドリブを2014年に制圧する前にも、同性愛者らはシリア政府や国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系の武装組織「アルヌスラ戦線(Al-Nusra Front)」によって迫害を受けていたという。

 また、身の安全を恐れ、中東の非公開の場所から電話を通じて「アドナン」の仮名で証言したイラク人男性は、イラクの治安当局による残忍な扱いに苦しんだあと、ISが現れ、自分が家族によってISに差し出されることを恐れるようになったと語った。

 アドナンさんによると、ISの戦闘員らは「同性愛者を追跡するプロ」で、「一人ずつ追跡して捕らえている。一人を捕まえると、その人の電話帳や連絡先、フェイスブック(Facebook)の友達をたどっていく」「彼らは全ての男性同性愛者を捕まえようとしている。まるでドミノだ。一人が捕まると、他の人々も次々に捕まる」という。

 また、国際ゲイ・レズビアン人権委員会(International Gay and Lesbian Human Rights Commission)のジェシカ・スターン(Jessica Stern)代表は会合で、ISがこれまでに同性愛行為を理由とした「処刑」を少なくとも30回行ったと主張していると指摘した。(c)AFP/Carole LANDRY