【8月24日 AFP】スペイン北東部のボリオル(Borriol)で22日、牛追いに参加していた男性1人が死亡し、今年の牛追い参加者の死者数が10人となった。スペインでは、牛追いがますます危険な「スポーツ」と化している。

 ボリオルの警察が23日に明らかにしたところによると、死亡したのは40代男性で、牛に何度も突かれて負傷し搬送先の病院で死亡した。これを受けて、人口約5000人のボリオルで行われていた祭りは中止された。

 スペインの牛追いによる1シーズンあたりの死者数は、2009年の10人がこれまでの最多となっていた。今年は現時点で既にこの数字に並んだことになる。前週末も、4市町村で開催された牛追いで4人が死亡している。

 同国文化省の統計によると、今年の各市町村での牛追いの開催件数は昨年より約2000件増え、合計約1万6000件となっている。牛追いのほとんどは、守護聖人にちなんだ祭りが集中する8月と9月に行われる。

 死者の増加について、毎年牛追いに参加しているという37歳の男性は、人が増えすぎていることが問題だと話し、牛に追い詰められた際にフェンスをよじ登って逃げることすらできなくなっていると指摘する。そして、最近の参加者が軽い気持ちで牛追いに臨んでいることを嘆き、「牛は人を殺すこともできる動物だ。(牛追いでは)このことを常に忘れず、どうすべきか考えながら走らなきゃいけない」とコメントした。(c)AFP/Laurence BOUTREUX