【8月23日 AFP】国際サッカー連盟(FIFA)の次期会長選に出馬することを表明した鄭夢準(Mong-Joon Chung、チョン・モンジュン)氏が22日、過去に行ったW杯招致活動での不正疑惑が浮上したことについて、ジョセフ・ゼップ・ブラッター (Joseph Sepp Blatter)現会長による「妨害」だと批判した。

 韓国の実業家でもある鄭氏については、ドイツメディアが21日、2022年大会の開催地決定投票で不正をしようとした疑いがあり、調査対象になっていると報じていた。

 すると鄭氏の広報担当者は22日、すぐさまこれに反論し、「過去の選挙戦と同じように、ブラッター会長が妨害工作をしている明白な証拠がまた一つ出た」とコメントした。

「FIFAは(会長選に出馬した)ミシェル・プラティニ(Michel Platini)氏批判に続き、鄭氏の出馬を邪魔しようとしているが、これは自滅行為になる」

「ブラッター会長は選挙妨害をやめ、すぐさま辞任すべきだ」

 ドイツ紙「ヴェルト・アム・ゾンターク(Welt am Sonntag)」は21日、FIFAの副会長だった鄭氏が、2010年に行われたW杯開催地決定投票の際、韓国にとって有利にはたらくような活動を行い、これがFIFAの倫理規定に抵触する疑いがあると報じた。

 鄭氏は2010年10月、FIFAの理事会宛に書簡を送付しており、総額7億7700万ドル規模の基金を設立し、サッカー関連プロジェクトを支援するとしていた。

 ヴェルト・アム・ゾンターク紙は、「鄭氏はこの約束に条件をつけた。そう、W杯の韓国での開催だ」と報じている。しかし同紙は、情報源については明らかにしていない。

 これに対して鄭氏は、基金設立の意図にやましいところは一つもなく、倫理委員会の調査はありえないと反論している。

 鄭氏は、上記の金額はグローバル・フットボール・ファンド(Global Football Fund)設立のためのもので、それは2010年の時点で広く報じられていると主張している。

 鄭氏の広報担当は、「グローバル・フットボール・ファンドは、W杯開催に立候補した国が提出を義務づけられている提案書のうち、『サッカーの発展』の項目にあたるものだ」と語った。

「イングランドやカタールなど、多くの国が韓国以上ではないにせよ、同等規模のサッカー発展の計画案を提出している」

 そして2010年12月に行われた決定投票で、2022年大会の開催地にはカタールが選ばれた。

 現代(Hyundai)財閥を築いた一家の出身で、現在63歳の鄭氏は、17日に次期会長選への出馬を表明していた。

 FIFAは、5月に逮捕された幹部7人を含む計14人が、マーケティング会社と合計1億5000万ドルの金銭をやり取りしていたとして米国で告発されるなど、汚職スキャンダルのただなかにいる。(c)AFP