【8月21日 AFP】パキスタン・パンジャブ(Punjab)州南部の地方都市で17日、火を使った悪魔払いにより母子が窒息死する事件があり、地元の警察当局は儀式を行った「祈とう師」の行方を追っている。

 事件はパンジャブ州南部の中心地ムルタン(Multan)の西60キロに位置するコト・アッドゥ(Kot Addu)で起きた。この地域は今も開発が進んでおらず、伝統療法を用いる医療師や黒魔術師が病気の治療に携わっている。

 地元警察のアワイス・アフメド・マリク(Awais Ahmed Malik)署長はAFPの取材に対し、40歳の女性と15歳の娘は、2人が悪魔にとりつかれたと信じた親戚によって「聖者」と呼ばれている男のもとに連れていかれたと説明した。祈とう師は親子を部屋に閉じ込め、悪魔を払うために火をたき、2人を窒息死させたという。

 同署長はまた、暫定的な検視報告によると、母と娘の2人は胃腸炎を患っていたとみられると述べた。警察当局は逃亡中の祈とう師と助手の女の行方を追っている。祈とう師と助手には殺人の容疑がかけられている。

 パキスタンでは、祈とう師による治療が現在も各地で広く行われている。今年1月には、同国南部シンド(Sindh)州で、6人の子どもを抱える父親が、錬金術などの魔力を得るためのいけにえとして5人の子どもを絞殺するという事件も発生している。(c)AFP