【8月21日 AFP】人間は、成体の動物や魚を過剰に殺すことで、地球の自然界のバランスを乱す「スーパー捕食者」だとする研究報告が20日、発表された。捕獲対象の生物をより若いものにし、捕獲量を今より少なくすることに重点を置くべきだという。

 米科学誌サイエンス(Science)に発表された研究論文によると、人間が成魚を殺す割合は、海洋捕食動物より14倍も高い傾向がみられるという。

 また、人間がクマやライオンなどの大型陸生肉食動物を殺す割合は、野生の捕食動物の9倍だという。

 世界中に生息する陸生と水生の捕食動物2125種の調査に基づき、人間は「人間以外の捕食動物からはめったに及ぼされることのない極端な結果」を招いていることを研究チームは発見したと、論文共同執筆者のカナダ・ビクトリア大学(University of Victoria)のクリス・ダリモント(Chris Darimont)教授(地理学)は述べている。

 この「極端な結果」としては、絶滅、魚の個体数減少、魚の小型化、地球規模の食物連鎖の崩壊などが挙げられている。

 これらの影響は、狩りに対する人間特有のアプローチによって引き起こされる。狩りを強力にするために武器や、燃料などの外部エネルギー源を使用する、可能な限り最大の捕獲量を求める、遠く離れた場所で食物を必要としている他者のための供給者となるなどは、人間が行う狩りにしかみられない特徴だと、ダリモント教授は指摘する。

 これは、海の自然界で行われている狩りの方法とは180度異なる。海では、大半の捕食動物が主に狙うのは成熟していない個体で、成体は約1%しか捕食されない。

「人間がもたらす影響は、その行動と同じくらい極端であり、地球は、人間の捕食の優勢性が課す重荷に耐えている」とダリモント教授は話す。