【8月10日 AFP】第16回世界水泳選手権(16th FINA World Championships)は9日、ロシアのカザニ(Kazan)で競泳男子1500メートル自由形決勝が行われ、五輪金メダリストで世界記録保持者でもある孫楊(Yang Sun、ソン・ヨウ)が、「体調に異変を感じた」として、レース直前に棄権した。

 決勝は14分39秒67を記録したグレゴリオ・パルトリニエリ(Gregorio Paltrinieri、イタリア)が金メダルに輝き、コナー・イエーガー(Connor Jaeger、米国)が1秒53差で銀メダル、ライアン・コクラン(Ryan Cochrane、カナダ)が11秒41差で銅メダルを獲得している。

 8日に行われた予選を3位で通過していた孫は、心臓に問題を抱えていたことを明らかにしている。

 今大会ですでに男子400メートルと800メートルのタイトルを獲得している孫によると、連覇を果たした800メートル決勝終了後に胸に違和感を覚え、9日のウオームアップ中にも体調の異変を感じたため、決勝を棄権する決断を下したとしている。

 記者会見に臨んだ孫は、「1500メートル決勝に出場できなかったことは本当に残念だ」と語った。

「800メートル終了後、心臓に違和感を覚えた。そしてこの日のウオームアップでも異常を感じたので、レース出場を取りやめなければならなかった」

 レースを棄権したことで、孫は2013年大会で果たした400メートル、800メートル、1500メートルの3冠達成という偉業を、2大会連続で成し遂げることが不可能になった。

 孫は昨年、ドーピング検査で陽性反応が確認され、秘密裏に3か月の出場停止処分を科されていたことが発覚し、物議を醸していた。

 ドーピング検査で陽性反応を示したトリメタジジン(Trimetazidine)は、孫が心臓の動悸(どうき)を抑えるために服用していた処方薬に含まれていたとされている。

 孫楊が決勝直前に棄権を決断したため、補欠として待機していたパル・ヨエンセン(Pal Joensen、フェロー諸島)の招集がレース開始に間に合わなかった。

 そのため、決勝はレーンが1つ空いた状況で行われることになり、孫楊は「私一人で決断を下したため、コーチには何も伝えていなかった。本当に申し訳なかった」とコメントしている。

 孫楊はさらに、9日午前にウオームアップ専用プールでブラジルのラリッサ・オリベイラ(Larissa Oliveira)とけんかしていたと報じられたが、この件についてはノーコメントを貫いた。

 ブラジルメディアの報道によると、孫楊とオリベイラが激しく口論していた様子を選手数人が目撃したと伝えており、ブラジル側は国際水泳連盟(FINA)に対し、正式に抗議している。(c)AFP/Ryland JAMES