【8月7日 AFP】生まれ故郷のオーストラリアから遠く離れた仏パリ(Paris)西部郊外の緑豊かな小さな村の周辺では、野生のワラビーが多数生息している──。

 小型のカンガルーのような外見のアカクビワラビーは、本来タスマニア(Tasmania)原産だ。

 1970年代、パリの南西約70キロに位置するエマンセ(Emance)村の動物保護区で飼育されていたワラビーの一部が、フェンスの穴を通り抜けて周囲の森に逃げ込んだ。以降、ワラビーはそこで繁殖を続けた。

 専門家らによると、気候がタスマニアのそれと非常によく似ているとされるこの地域には現在、約100匹の野生のワラビーが生息しているという。

 地域のハンター協会の関係者は、「20~25年前、ワラビーはタブー扱いだった。そこには暗黙の了解のようなものがあった」と語る。そして「カンガルー(ワラビー)は規制からこぼれ落ちていた。フランスでは、動物は、狩猟対象動物、有害動物、保護対象動物、そしてペットのいずれかに分類されている。カンガルーなどどこにも属していないため、狩りの対象にもできなかった」と説明した。

 それでも、野生のワラビーに対する見方は、ここ数年で変化している。

 2003年、跳ねまわるワラビーのシルエットをデザインした道路標識を地元住民が遊び半分で掲げたことをきっかけに、地域では、ワラビーを取り巻く空気ががらりと変わった。地元の首長によると、現在はマスコットのような存在にすらなっているという。(c)AFP/Juliette MONTESSE