【8月4日 AFP】19世紀から英国の街並みのシンボルとなっている赤い郵便ポストを標的にした窃盗事件の続出を受け、郵便当局は、ハイテク装置を使った逆襲に出た。

 英郵便事業ロイヤルメール(Royal Mail)は国内に11万5500本あるとされる郵便ポストを守るため、盗まれたポストの特定に科学捜査の手法や電子追跡を導入し、郵便ポストの監視を強化する計画を明らかにした。

 英国の郵便ポスト愛好家協会で、郵便ポストの歴史に詳しい「郵便箱研究グループ(The Letter Box Study Group)」は、年に最大200本が奪われていると推定。ロイヤルメールは、平均して年に約100本とみている。

■窃盗の目的は主に3つ

 今年発生したなかでもとりわけ悪質な窃盗は、イングランド(England)東部ノーフォーク(Norfolk)の3つの村で1月のある週末、ビクトリア朝時代(1837~1901年)の貴重なポスト4本が盗まれた事件だ。

 郵便箱研究グループのロバート・コール(Robert Cole)氏は、窃盗犯は主に3タイプに分けられると指摘し、「ポストを金属スクラップにしようとする者、ポストに投函された手紙に興味がある者、ポストの歴史的価値を知っている者」だと語った。

 人気のオンラインオークションサイトでは、珍しい型のロイヤルメールの郵便ポストは、円柱型のポスト1本が5775ポンド(約120万円)や5200ポンド(約100万円)といった高値で取引されている。

 英国では現在、人口の98%以上の人々にとって約800メートル圏内に1本の郵便ポストが設置されているが、これはロイヤルメールが英国全土の郵便サービス提供者として順守すべき法的義務である。

 ロイヤルメールは、郵便ポスト保全キャンペーンの中で、「郵便ポストは高く評価され、国のイメージの一部になっている」と歴史的遺産の存続を訴えている。(c)AFP/Nick MORRISON