【7月31日 AFP】中国の現代芸術家として世界的な知名度が高く、反体制的な活動でも知られる艾未未(アイ・ウェイウェイ、Ai Weiwei)氏(57)が30日、ドイツに到着した。艾氏は4年ほど前に逮捕されて以来、出国したのは今回が初めて。これに先立ち英政府は、6か月のビザ(査証)を申請した同氏に対し、記載すべきだった「犯罪歴」を申告しなかったとして、短期間のビザしか認めていなかった。

 艾氏は反政府派に対する弾圧が目立った2011年、起訴されることなく81日間拘束され、保釈された後もパスポート(旅券)は没収されたままとなっていたが、1週間前になって新しいパスポートが発給された。

 艾氏本人と複数の人権団体は、艾氏は起訴されたことも、有罪判決を受けたこともないと主張している。

 ルフトハンザ航空(Lufthansa)の便でドイツ南部のミュンヘン(Munich)に到着した同氏は、空港内で6歳の息子との再会を果たした。同氏は到着ゲートの案内板前で「自分撮り(セルフィー)」を済ませた後、見るからに感極まった様子で記者団に対し、「(息子に)何年も会っていなかったんですよ」と話した。

 先週ドイツから複数回の入国が可能な4年間有効のビザの発給を受けた同氏は、「数日以内に」ベルリン(Berlin)を訪れたいとしている。

 艾氏は同日、英政府から6か月有効のビザ発給を拒否されたと明かしていた。その理由は申請時に「犯罪歴」を申告しなかったためとされており、代わりに「特例的に」今年9月の20日間のみ有効なビザが発給されたという。この対応にインターネットでは怒りの声が上がり、複数の人権団体が一斉に非難した。

 艾氏が北京(Beijing)にある英大使館から受け取ったとされる手紙には、今後申請する際には「できるだけ正確に」申告するようにという指示が記されており、従わなかった場合は10年間の入国禁止処分となると警告されている。(c)AFP/Pauline CURTET