■人類の成功へのカギ

 研究チームは次のような仮説を立てた。「熱帯雨林の周辺で暮らしていたひとつの集団が、森林の退行と草原の拡大に従って、東と西へ移動した。この時点では(最終氷期に関連する気候変動が原因で)草原は赤道付近にまで拡大しつつあった」

 東と西に分かれた2つの集団は、約1万3000年前に気候が再び温暖化に向かい始めた後に、互いに孤立した状態になり、それぞれ独自に新たな環境条件に適応した。

 研究チームによると、体の小型化は、島に生息する哺乳類にみられる現象で、捕食動物がいないことと資源が限られていることが、その原因である可能性が高いという。

 これは、熱帯雨林のような、全く異なる種類の環境に囲まれた土地が点在する「環境的な島」にも適用される。

 今回の結果は、人間の成長パターンが比較的速やかに進化する可能性があることを示唆している。「可塑性」と呼ばれるこの現象は、人類が新たな環境条件に容易に適応することを可能にしたと思われる。

 ロッジ氏は「人間の成長におけるこの可塑性は、現生人類ホモ・サピエンス(Homo sapiens)の世界中への速やかな拡散に重要な役割を演じたと思われる。人類は約6万年前にアフリカを出て、その数千年後には地球全体に居住地を拡大した」と話している。

 この変化は、出生前後に放出される成長ホルモンで調節されると考えられている。(c)AFP