【7月30日 AFP】韓国の映画監督、金趙光秀(キムジョ・グァンス、Kim Jho Gwang-Soo)さんが青春時代を過ごした1970~80年代は、同性愛は「病気」であり、愛のなく満たされない性関係を繰り返す人生をもたらすとされた時代だった。

「小さいときから、映画監督になるのが夢だった。でも映画作りではなく、セックスの相手を探すのにすべての時間とエネルギーを使ってしまいそうだった」。現在50歳になった金監督は、淡々としたユーモアと皮肉を交えながら、そんな不条理な状況を振り返る。

 しかし自らの性的指向に気付き始めた15歳にとって、70年代後半の韓国はつらい場所になりえた。「ゲイ・コミュニティーが本格的に出現し始めたのは、90年代半ば。それまでの15年間は暗く、辛い時期だった」

 しかし時代は変わった。米国の最高裁判所が先月、国内全州で同性婚を合法と認める歴史的判決を下したことで、韓国の同性愛者の権利運動も、注目や世論の支持といった面で小さな波に乗っている。直後の6月末にソウル(Seoul)で行われたゲイ・プライド・パレードは過去最大規模となり、保守的なキリスト教団体の強い抗議をよそに、多くの参加者が市中心部を練り歩いた。

 そして今月、金監督とパートナーの金承煥(キム・スンファン、Kim Seung-Hwan)さんはさらなる一歩踏み出すことを決心し、法的な婚姻関係を求め訴訟を起こした。2人は2013年9月にソウルで屋外結婚式を挙げ、役所に婚姻届を出したが、受理されなかった。韓国では同性愛は違法ではないが、同性婚は認められていない。