■紙一重の演奏生活

 ミュージシャンは皆、祖国・北朝鮮への強い誇りを語る。しかし、その祖国での音楽演奏は危険の種ともなりうる。かつて北朝鮮音楽界の最高峰といわれた「銀河水(ウナス)管弦楽団(Unhasu Orchestra)」は2013年に解散。韓国情報筋によれば、メンバーのうち4人はスパイ罪で銃殺刑に処されたという。北朝鮮の公式発表はない。

 国境地帯で演奏しているミュージシャンの一人、リュウ・ソルシン(Ryu Seol-Sin)さん(28)は、中国へ来て2年近くになるが、最近、帰郷についても考えるようになったと話す。

 牡丹峰楽団のメンバーを数多くを輩出している金元均平壌音楽大学(Kim Won-Gyun Pyongyang University of Music)を卒業したというリュウさんは、「以前は一生懸命働いて、大観衆の前で演奏するほど出世したいと思っていた。けど今は音楽を教えたい。その方が国に仕えるために安定しているし、より安全だと思うから」とコメントしている。(c)AFP/Benjamin HAAS